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活動内容 キャリアセッション
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キャリアセッション事業が目指す姿

キャリアセッション事業では、キャリア支援を通して「社会的養護下の子どもが自立に対する前向きな意欲を持ち、行動できる状態」というゴールを達成するために、現在は児童養護施設の中高生対象の自立支援を行っています。

キャリアセッション事業では、キャリア支援を通して「社会的養護下の子どもが自立に対する前向きな意欲を持ち、行動できる状態」というゴールを達成するために、現在は児童養護施設の中高生対象の自立支援を行っています。

背景・課題

児童養護施設で暮らす子ども達の多くは、高校卒業と同時に施設からの退所を余儀なくされます。この時点で多くの子どもたちは就職という選択を行いますが、社会的養護下にある子どもたちは、進学率が低く、就労しても不安定になりがちであり、こうしたことから貧困に陥りやすいという現実があります。私たちはその原因として、以下の2点に着目しています。


1.職業選択の知識が乏しい
子どもたちは将来の進路をより早期に固める必要があるにも関わらず、施設職員以外の大人と接する機会が少なく、世の中の職業やキャリアパス、また職業観を知る機会が限られています。これまで行ってきた支援を通して、こうした現実が、職業選択の幅を狭め、またサービス業や福祉関係といったある一定の職業に偏った選択*¹に繋がっていることが明らかになってきました。

2.自立に向けた心の準備ができていない
社会的養護下にある子どもたちは、心に傷を負うような厳しい生育環境に置かれたために自己肯定感が低いことや、周囲の児童養護施設入所者の学歴達成が低いことから、将来への明るい展望を持ちにくい傾向があります。

また、児童養護施設の職員は恒常的に人手不足の状態であり、日常のケアに加えて就職・進学に対する手厚いサポート等の自立支援を行うことが困難な状況にあります。こうしたことから、自立に向けた心の準備が十分でないまま施設の退所を迎えてしまい、無職率や継続率といった就業の不安定さに繋がっていると考えられています*¹。

*¹ 出典:東京都における児童養護施設等出身者の実態調査2017(東京都)

私たちが考える解決策

キャリアセッション事業では、将来の選択肢を広げ、自立に向けた子ども達の心の準備を行うためのキャリアプログラムを実施します。重要なことは、施設を退所する直前に準備するのではなく、インケア*¹のうちから時間をかけて自立に対する前向きな意欲を育むことです。

そのきっかけの一つとして様々な職業を紹介するセッションを企画・運営します。特に、プログラムを通して自主性や関係構築力といった非認知能力*²を高めることを目指しながら、子どもがキャリアについて興味関心を持ち、自ら将来図を描き行動する意欲や力を高めていきます。


*¹ 施設入所中の日常の生活支援を中心とするケア。生活指導、学習指導、金銭管理の意識づけ、対人関係の支援などがある。
*² IQや学力テストで計測される認知能力とは違い、忍耐力、社会性、意欲的といった、人間の気質や性格的な特徴のようなもの。将来の成功に大きく影響することが明らかになっている。

私たちが取り組む具体的な施策

中高生向けに「おしごとリップ」という通年のキャリアプログラムを行います。業界を7つに分類し、各業界を代表する職業の講師を招いて、仕事内容や自身のキャリアについて語って頂き、またワークを通しての職業体験も組み込まれています。更に定期的な面談を実施し、個別の興味・関心に合わせた社会見学を調整したり同行するケースもあります。

社会的養護下にある子どもたちを対象とするこのプログラムは、良好な関係性の上に成り立つものです。そのため、子ども達とLIPメンバーがある程度の時間をかけて関係を築き、子ども達が安心できる環境を作りながら職業観や世界観を広げてもらうことを大切にしています。

これまでの活動

児童養護施設である筑波愛児園の中高生を対象に、過去7年間で約60回のプログラムを実施しています。また交流を深めるためのキャンプも実施しました。

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具体的成果

「おしごとリップ」プログラムの継続的な実施は、子どもたちのキャリアリテラシー向上に繋がっています。参加した中高生、自立支援コーディネーター、中高生の日常のケアをしているケアワーカーからは下記の声をもらっています。

◇プログラムに参加した中高生
・職業選択の幅が広がり、仕事への視野や関心、世界観が広がった
・興味の幅が広がり、積極性や自発性が増した
・他者との接し方を学び、関わる機会が増えた
・LIPメンバーに話し相手になってもらえることが嬉しい

◇自立支援コーディネーター
・子ども達が活動自体を楽しみにしていた
・職業選択の幅が広がったことで仕事への視野も広がり、将来を考えるきっかけになった
・メンバーが長期的に関わってくれることで、信頼関係を築けるようになったり、他者との接し方を学んだ
・第三者であるLIPや講師の言葉が子どもに届くこともあり、自立支援をしやすくなる

◇ケアワーカー
・子どもの職業に対する興味関心の幅が広がり、仕事への視野が広がった
・子どもの自立支援のサポートになった
・職員とこどもとの会話のきっかけになった

今後の展開

現在支援している施設(つくば愛児園)の他にも実施する施設を増やし、より多くの子どもたち自立に向けた支援を行っていきます。また最終的には、「おしごとリップ」で構築したノウハウや知見を、社会的養護下の子どもに対するキャリア教育に関心の高い団体と共有し、社会へ広く展開させていくことを目指していきたいと考えています。


参考資料:東京都における児童養護施設等退所者の実態調査報告書(全体版)