建て替え事業では、親と暮らせない子どもたちの「家」となっている児童養護施設を、より家庭的な環境に変えることで、子どもたちにより愛情が届きやすくすることを目指しています。
建て替え事業では、親と暮らせない子どもたちの「家」となっている児童養護施設を、より家庭的な環境に変えることで、子どもたちにより愛情が届きやすくすることを目指しています。
児童養護施設は、戦後に戦災孤児を引き取るために存在した孤児院を発祥としており、多くの施設は20名以上の子どもが一同に生活する「大舎」と呼ばれるタイプの造りをしています。
大舎制の施設では、子どもたちが合宿所のように集まって過ごしています。そのため、子どもが落ち着いて過ごすことができない、子どもの人数に対して職員が少ないため、職員が一人ひとりの子どもと向き合える時間が少ない、などの課題を抱えています。
施設には虐待や親との死別などのトラウマを抱えている子どもが多く暮らしています。そのため、子どもたちが1人で落ち着いて過ごせる生活空間を確保すること、また養育者である職員が子どもたちと一対一の時間を過ごすことができる時間を増やし、愛着関係を深めることが求められています。
近年では、こうした問題意識から「小舎制ユニット」と呼ばれる小規模施設が増え始めています。*¹
しかしながら施設を建て替えるための資金を十分に積み立てている児童養護施設は少なく、施設新設のために新たに借入をしようとしても返済原資がないという理由で退けられてしまうことが少なくありません。
こうした課題を解決するため、Living in Peaceは、大舎制の施設をより家庭的な小舎制へと建て替えるための資金援助を行なっています。
*¹出典:社会的養護の現状について(厚生労働省)
児童養護施設の建て替えには、建築費の7割を国が補助をしてくれる制度があります。たとえば、4億円のグループホームや小舎制ユニット等を建てるときには、その7割のおよそ2億8,000万円を国から補助を受けることができます。
つまり、1億2,000万円の手元資金があれば、4億円の建築費を準備することができ、施設を建て替えることができるのです。
Living in Peaceは、そうした手元資金を捻出するため、月々1,000円からの継続寄付プログラム「チャンスメーカー」を運営し、支援者様から寄付金を募っています。
また、Living in Peaceは認定NPOとして税制上の優遇措置を受けているため、いただいた寄付の価値を1.35倍に高めて施設へ提供することができます。ここに国からの補助金制度と無利息の貸付制度を掛け合わせると、最終的に寄付の価値は約4.5倍となります。
これまで、「チャンスメーカー」を通じて支援者様から頂いた約8,500万円の寄付金により、2施設の建て替えを実現しています。
・筑波愛児園:児童養護施設/茨城県つくば市(社会福祉法人筑波会)
・鳥取こども学園希望館:児童心理治療施設/鳥取県鳥取市(社会福祉法人鳥取こども学園)
建て替え後に個室ができたことによって、子どもたちは落ち着いて生活できるようになりました。また、職員と過ごせる時間が長くなり、自分の個室で家族のことや悩みなどの個人的な話もできるようになったことで、子どもたちと職員がより深い愛着関係を築けるようになりました。
更に、生活のルールが減り外出が容易になったことで、施設外へと積極的に関わっていけるようになりました。
一方で、職員に関しても、ケア以外の業務量が減少したことにより、より多くの時間を子どもと過ごせるようになり、子どもを深く理解し一人ひとりに合わせた個別的なケアを行いやすくなりました(筑波愛児園の声)。
2017年には既に建て替え支援を行ってきた2施設に加え、新たに社会福祉法人広島新生学園の児童養護施設の建て替えおよび児童心理治療施設の新設を支援することを決定しました。
新施設建築のための借入金2億7,400万円のうちの4,100万円について、2019年から2036年までの17年にわたる支援を予定しています。