取り組む課題

児童虐待

 

増加する児童虐待報告

児童虐待報告件数は増加の一途をたどり、2014年も過去最高値を更新しました。厚生労働省の統計によると、2014年度の全国の児童相談所が、児童虐待相談として対応した件数は8万8,931件を数え、過去最多となりました(ただし、通報の増加が問題の深刻化と一致しない可能性がある点には注意が必要です)。
児童虐待報告件数
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出典: 「厚生労働省 児童虐待の現状」
児童虐待報告件数は増加の一途をたどり、2014年も過去最高値を更新しました。厚生労働省の統計によると、2014年度の全国の児童相談所が、児童虐待相談として対応した件数は8万8,931件を数え、過去最多となりました(ただし、通報の増加が問題の深刻化と一致しない可能性がある点には注意が必要です)。
  
 

児童虐待の種類

  
  
2014年度の報告件数のうち、虐待の内容および児童虐待相談の対象児童の内訳は以下の通りとなっており、虐待の種類で一番多いのは言葉の暴力などの心理的虐待で、暴力を振るう等の身体的虐待、育児放棄などを指すネグレクトと続き、もっとも少ないのが性的虐待です。ただし、性的虐待は、その内容から、被害者・加害者双方が問題を明らかにしないことも多く、実態よりも少なく統計上の数値が出ている可能性が高いとも言われています。​
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出典: 「厚生労働省 児童虐待の現状」
  
 

児童虐待の影響

  
  
増沢高の『虐待を受けた子どもの回復と育ちを支える援助』では、「虐待を受けたこどもはこうなるという単一の臨床像があるわけではないが、こどもごとに、多岐にわたる領域の症状や問題を示す」とされ、具体的な症状や問題が以下の通り紹介されています。

 
 
 
虐待体験が子どもにもたらす具体的な症状や問題

  ​​周囲に対して不信感や恐怖感が強い
  衝動のコントロールができない
  年齢相応の生活習慣を獲得していない
  情緒豊かに日々の体験を受け止めたり表現する事が難しい
​  同年代の友人との関係作りや集団参加が苦手

出典:増沢高著「虐待を受けた子どもの回復と育ちを支える援助」​
 
  
  

同著では、上記のような症状や問題が出てしまう背景として、「こども時代に養育者の愛情をベースにしたしつけや教育を通じて社会の規範やルールを学び、攻撃性をコントロールする力を身につけることができなかったことや、0歳〜1、2歳頃までにかけて本来であれば心の中心に不信感を凌駕する信頼感の感覚を宿らせる時期に、逆に生きることの困難さや世界への不信と恐怖の感覚を心の中に根付かせてしまったことが影響している」と述べられています。

また、同じく同著では、「1歳〜4歳頃の、社会が共有する基本的な習慣を身に着けるしつけの時期に、自分の欲望をコントロールする力を十分に備えることができなかった影響もある」と述べた上で、結果として、「学齢期になってもルールや常識が身についていないために学校で注意を受ける機会が増え、それが引き金となってトラブルを繰り返し、周囲から疎まれ、さらに不信感や疎外感を増幅させるという悪循環に陥る場合もある」ことが述べられています。

加えて、虐待という過酷な環境を生き抜く中で、平穏な社会で生きるには必要がないものも身についてしまう場合があります。具体例は以下の通りです。上記で記載した症例や課題と合わせて、虐待を受けたこども達の生きづらさにつながっています。

 
 
 
​過酷な環境を生き抜く中で、身につきうるもの

  ​『解離』という精神の防衛機制
  虐待回避型の非行
  暴力に対する高い親和性
​  性的行動に対する高い親和性
  
出典:増沢高著「虐待を受けた子どもの回復と育ちを支える援助」​
  
  

また、虐待との明確な因果関係の特定は難しいですが、虐待を受け、親とともに暮らすことができなくなったこどもの多くが育つ社会的養護に関わる児童福祉施設等や里親家庭では、障害を持つこどもの割合が高く、かつ、その割合は過去と比較して増加の傾向にあります。

社会定養護のもと​暮らす子どもたちのうち、障害を持つ子どもの割合
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出典:「児童養護施設入所児童等調査の結果」
※平成25年調査の数値は、里親委託児、養護施設児、情緒障害児、自立支援児、乳児院児、母子施設児、ファミリーホーム児、援助ホーム児の合計。平成15年調査の数値は、里親委託児、養護施設児、情緒障害児、自立支援児、乳児院児、母子施設児、の合計。

また、虐待との明確な因果関係の特定は難しいですが、虐待を受け、親とともに暮らすことができなくなったこどもの多くが育つ社会的養護に関わる児童福祉施設等や里親家庭では、障害を持つこどもの割合が高く、かつ、その割合は過去と比較して増加の傾向にあります。
このように日本には児童虐待の被害者となってしまったこどもが数多くいて、様々な生きづらさを抱えています。
また、そのうちの少なくない割合が、障害を抱えています。虐待が通報などによって明らかになった後、多くのこどもたちは社会的養護の元に暮らすことになります。